東京高等裁判所、二度目の口頭弁論(8月2日、川崎栄子代表)

8月2日、高等裁判所での口頭弁論

皆様こんにちは。

東京地裁では朝鮮総連による嘘の宣伝については間違っていたと認めましたが留置行為については北朝鮮で行われた事なので日本の司法の管轄外という事で取り上げられませんでした。

 

問題はそれでよろしいのでしょうか?

 

朝鮮総連が有りもしない北朝鮮地上の楽園説を大々的に繰り広げて 在日コリアンの98.5%以上の人達が韓半島の南すなわち現在の韓国系の人達を93,340人も北朝鮮の地獄へと押しやりました。その中には1,800人の日本人妻と6,800人の日本国籍保有者も含まれていました。

 

もちろん、公式的には日本と北朝鮮の赤十字が国交のない両国政府を代表して協定を結んで進めた事になっていますが実際にはキム イルソンとハン ドクスの謀略によって朝鮮戦争で失われた労働力の穴埋めとして在日コリアンが北朝鮮へ送り込まれたのです。

 

その後、その人達がどんな事になったかは皆様も既にご存知の通りです。いっさいの自由も人権も認められない暗黒の地で在日コリアン達は差別され、引っ張られて強制収容所や監獄にぶち込まれて死刑にされ、殴り殺され、飢えや寒さで命を落としても誰も口を挟めず北朝鮮のやりたい放題でした。

 

特に日本人妻家族はスパイと言う汚名を着せられてどんどん強制収容所へ送り込まれました。

在日コリアンである夫は先に連れて行かれて殺され、その後、家族は主にヨドク収容所とサリウォン収容所へ送り込まれました。

 

一般の在日コリアンたちも極端な生活苦と徹底した身分社会の中で息もまともにつけないような状況の中で生き延びなければなりませんでした。

 

先ほど東京地裁で日本から行った人達が2度と北朝鮮から外へは出られなかった留置行為についてそれは日本の司法権の管轄外として切り捨てたと言いました。

 

これは正しい判断だったのでしょうか?

 

私は「これは事実と異なる」とはっきり言わせていただきます。

 

どうしてか?

北朝鮮の「留置行為」はすでに新潟港つまり、日本の領土内で始まっていたからです。

 

北朝鮮へ行く事になった在日コリアンは「帰国列車」と言う汽車に乗った瞬間から朝鮮総連によって完全に自由を奪われた状態(汽車の中には車両ごとに沢山の朝鮮総連役員たちが乗り込んで目を光らせていました)だったし、出国手続きの為の宿所である日赤センター内にも事務所を構えていっさいの出国手続きを代行しながら1人の脱落者も出しませんでした。

 

そして北朝鮮へ行く在日コリアン達を船に乗せるまでが彼らの任務だったのです。

 

そして船に乗ったらそこは既に北朝鮮の支配下つまり、、北朝鮮だっだのです。船には公式的には一つの船に2人ずつの北朝鮮代表がいましたが実際には政府高官、警察関係者を始め沢山の北朝鮮幹部達が乗り込んでいました。

 

だから在日コリアン達は北朝鮮に上陸してから留め置かれたのではなく新潟港で船に乗った瞬間から北朝鮮の留置行為が始まっていました。普通のフェリーの様に船が出る間際でも急用ができたからといって降りる事も出来なければ、間違って乗った様だからこの船で日本へ帰りますというようなことは一切ありませんでした。

 

つまり、私が言いたいのは在日コリアンの北朝鮮による留置行為は日本の領土内から始まっていたから日本の司法権が適応されるという事です。

 

そして又、留置行為の中で東京地裁では北朝鮮に上陸してからは北朝鮮の人たちと同じ留置状態だったと言いましたがそうでは有りません。

 

北朝鮮の人達は常時パスポートを持ってはいませんが外国にいる親戚(主に中国、ソ連)訪問は出来るし、外国へ出稼ぎにも行けます。しかし日本から行った在日コリアンには一切こんな事は許されません。完全な留置行為は在日コリアンだけに適用されました。

 

朝鮮総連が嘘をついて在日コリアンを新潟まで連れて行って船に乗せた事と北朝鮮船舶による留置行為は切り離す事の出来ない一つの事件なのです。

 

高等裁判所の裁判長様始め判事様方、この点を正しく見極めて下さってこの高等裁判所で私達を勝訴にしてください。

日本の裁判所が北朝鮮を勝たせる事がないというのは信じています。

 

でもこの裁判がこれ以上長引いてはいけない事情があります。それは私達原告団の年齢と病です。原告団5人のうちコ ジョンミさんは既にお亡くなりになりました。榊原さんは北朝鮮での怪我の後遺症で殆ど身動きが出来ない状態だそうです。そしてご存じの様に一番歳下の石川さんは急性骨髄性白血病という血液癌でとても重い状態です。前回と同じく裁判所まで来られたのは斎藤さんと私だけです。この2人もいつまで健在でいられるでしょうか?

 

再度、この裁判が今日をもって口頭弁論を終わって1日も早く勝訴にして下さいますようお願いいたします。

 

ここからは私のお話をさせていただきます。

 

私は17歳の時に1人で北朝鮮へ行って44年経って2004年に日本へ帰ってきました。その時点で私の親兄弟との離散家族状態は終わりましたが北朝鮮から1人で脱北した事によって今度は子供達や孫達と離散家族になって20年になります。つまり私は63年以上を離散家族という重荷を背負って生きています。

 

今戦争中のウクライナの人たちも外国へ行き来しています。この世界中でただ一つ韓半島と日本にだけ離散家族というのが存在するのです。

 

ご存知のように拉致被害者の方々も私達脱北者よりももっと典型的な離散家族です。

 

私達脱北者はそれでもコロナの前は手紙を出す事ができましたし、お金や品物を送る事が出来ました。一方的に向こうからかかって来る電話では有りましたが国際電話で声を聞く事も出来ました。もちろん、公開された場所で電話をかけますから何でも話すことは出来ませんがそれでも声を聞いて生きていると言う確認はする事ができていました。

 

それに比べて拉致被害者の方々は一切何も伺い知ることが出来ません。これは私がやった事では有りませんが同じ韓半島にルーツをもつものとして常々とても申し訳なく思っていましたし横田めぐみさんのお母様を始め多くの拉致被害者の方々と行動を共にする様に努力していました。

 

国連では在日コリアンの北送を壮大な規模の拉致であると規定しています。私達はお互いに協力し合って1日も早く離散家族の境遇から抜け出したいと思っています。

 

私は2019年11月までは家族が何とか皆んな生きているという確認は取れていましたがコロナ禍が始まってキム ジョンウンが国境を陸海空一切遮断してしまってから現在まで北朝鮮の家族が生きているのか死んでしまったのか?一切彼らの事を知る事が出来ません。

 

私は極度の不眠症です。

 

それは「私が今、日本にいるのは夢の中で明日の朝目が覚めたら北朝鮮に居るのではないか?」という恐れから外が明るくなるまで目を閉じる事が出来ないし、「私がこれほど恐れる北朝鮮に居る彼らは一体生きているのだろうか?」と思うと保衛部に追われて血みどろになって助けを求めている夢をしょっちゅう観るのでそれが怖くて目を瞑れない悪循環が続いています。

 

飛行機に乗れば2時間もあれば到着する距離にいながら何十年も消息が分からないこんな理不尽がこれ以上続いていいのでしょうか?

現在の状況では北朝鮮が崩壊しない限り拉致問題の解決も離散家族の問題も解決しないと思います。

 

北朝鮮にとってこの裁判は巨大な鉄槌になると思います。北朝鮮は国際的なメンツをとても気にしています。1日も早くこの裁判を勝訴で終わらせる事によって北朝鮮にガーンと一撃を加えられるよう裁判長様を始め関係者諸氏に心からよろしくお願い致します。

 

川崎栄子