北朝鮮の苦難の行軍とは何か(川崎栄子)

YouTube「北朝鮮の極端的恐怖」2021年6月8日より)

■「苦難の行軍」とは「大量餓死」ということ…

みなさん、こんばんは。

 

金正恩はこの前、「苦難の行軍を始める」と言いました。苦難の行軍を始めるということは、どういうことでしょうか?苦難の行軍という言葉自体が一体、どういうことなのでしょうか?

 

それは金日成が抗日パルチザン闘争をしているころ、厳冬の中国大陸で食糧もなく、数十日間を悪戦苦闘して行軍したという、その時のことを「苦難の行軍」と表現しました。

 

そして金正日の時代になって大量餓死が発生して、数百万の人々がなくなりました。そのことを「苦難の行軍」という言葉で表現しました。

 

結局、「苦難の行軍」とは「大量餓死」という言葉なのです。

■アジアでだた北朝鮮だけが餓死を心配する国

それを金正恩が会議の席上で堂々と発表しました。一刻の首領としてあり得ることですか?自分の国民をこれから数百万も餓死させるということを、発表したのです。考えられますか?

 

今、東北アジアの人たちは、みんな豊かな暮らしをしています。日本、韓国、中国、台湾、それからカンボジア、タイ。アジアの国々で餓死者が出ているなんていう話は聞いたことがありません。そんな必要がないわけです。飽食の時代なのです。

 

「どうすればこれ以上太らないで生きていけるか?」「どうすればスリムな体型を保つことができるか?」「どうすれば健康を維持することができるか?」 みんな神経は、そこにいっています。

 

ただ一つ、北朝鮮だけが、飢え死にするかしないかを、日夜心配しないと生きていけない国ですし、実際に大量餓死が発生することになるでしょう。

■中朝国境封鎖は北朝鮮住民の命綱を切ること

金正日の頃は、大量餓死が発生した頃、中朝国境を封鎖しませんでした。だから飢えた人たちがたくさん脱北して、韓国へ流れていき、他の国々へも、たくさんの人たちが移り住みました。

 

そしてまた中朝国境の密輸を通して何とか生き延びるための道を切り開いていきました。餓死しないで生き残った人々は、その密輸ルートによる商品の売買と、それを国内へ拡散することによって生き延びるルートを切り開いたわけです。

 

今の市場経済は「苦難の行軍」の結果として生まれましたよね。それが今の北朝鮮の人たちの命綱なわけです。

 

ところが金正恩はコロナを口実に、中朝国境を完全封鎖してしまいました。中朝国境だけではありません。陸海空すべてのルートを遮断してしまいました。北朝鮮の国民は完全に檻の中に閉じ込められてしまったわけです。

 

もしも国家的に食糧を輸入しないでそのまま放っておくと、国民は自動的に大量餓死の道に進むより仕方がなくなってしまいますよね。今、本当にとんでもない状況になっているのです。

■北朝鮮は40年分の食糧代を核開発につぎ込んだ

じゃあ、どうして北朝鮮の人たちに食糧がそんなに足りないのか。それは、北朝鮮の軍事費がめちゃくちゃ多いからです。北朝鮮のお金を全額投入しているといっても過言でないくらいの状況なのです。

 

昔、アメリカは、原子爆弾の開発に当時のお金で20億ドルを使ったそうです。現在のお金にすると288億ドルになるそうです。

 

じゃあ、北朝鮮もそれくらいのお金を投じないで、原爆の開発ができたとお思いになりますか?科学が発達していない国でやったことですから、もっとお金をかけたと思います。

 

大雑把にみて300億ドルをかけたとしましょう。一億ドルでとうもろこしを買うと40万トンを買うことができます。400万トンのとうもろこしがあれば、北朝鮮の人たちは一人も飢える必要がありませんし、家畜も育てることができます。

 

じゃあ、300億ドルだと、どれくらいになるでしょう。30年間の食糧代、それも100パーセント輸入し、国内生産がゼロだと仮定しての量です。本当は国内で30%くらいは生産しますので、それくらい余分です。だから10年分くらいは余分なので、40年分の食糧を輸入するお金を核開発につぎ込んでいるということなのです。

■誰のための核開発なのか?

じゃあ、北朝鮮に核兵器が必要ですか?ありません。どこが北朝鮮に攻めてきますか?中国が攻めてきますか?アメリカが攻めてきますか?韓国が攻め込みますか?どこの国も今、そんな計画はしていません。ただただ、北朝鮮が勝手にやっているわけです。

 

じゃあ、北朝鮮の国民にとっては、核兵器は必要でしょうか。命よりも必要でしょうか。必要ないと思います。核兵器なんかあるよりも、お腹が膨れて普通の生活を送ることができたら、北朝鮮の人たちにとっては、それ以上に良いことはないと思います。金正恩の命、ただ一つのために、核開発はやっているのです。

■金正恩が恐れていること

この前、アメリカがイランの軍司令官を殺害しました。ピンポイントで一人だけを殺害しましたよね。金正恩が恐れているのは、まさにそのことなのです。「自分がそのように一人だけ殺されるのではないか」と。

 

今、韓国の色々な人たちはそれを実際に主張しています。アメリカにもう一度、その方法で金正恩を処分して欲しいと行っている人たちもいます。でも、私はそうは考えておりません。

 

金正恩はその自分の命一つのために核開発にそれくらいの莫大なお金をかけています。それだけではありません。ミサイル開発もありますよね。ミサイルにも莫大なお金をかけています。

 

その軍事費を半分に減らしても、北朝鮮の人たちは飢えなくて良いと思います。

 

核開発と食料問題の関係について、今日はお話しいたしました。次はまた、他の方向からお話ししたいと思います。

 

みなさま、ご視聴、ありがとうございました。