【在日北送65周年七夕国際行事の報告】④
〜新潟青陵大学にて、北朝鮮人権映画上映会(『ノーザン・リミット・ライン』)〜
新潟港中央埠頭から新潟青陵大学へと移動した私たちは、懇談しながら昼食を済ませ、青陵ホールに集まりました。
午前の日程では横田めぐみさんの拉致現場視察・在日北送事業跡地視察など、主に日本における北朝鮮人権問題を扱って来ましたが、午後は映画上映を通して、韓国における北朝鮮人権問題として、2002年に起きた「第2延坪(ヨンピョン)海戦」を取り上げました。
第2延坪海戦は2002年6月29日、黄海の延坪島付近で北朝鮮の軍船舶2隻が国連が定めた北方限界線(ノーザン・リミット・ライン)を超えて韓国側に侵入し、警戒にあたった韓国海軍の艦船に向けて突然の攻撃を行ったことで起きました。
北朝鮮軍による最初の一撃が韓国海軍船舶の操舵室を直撃し、艦長が戦死。その後の戦闘で打撃を与えたことで北朝鮮軍は撤退しましたが、韓国側は戦死4名、負傷者19名、行方不明者1名の被害を受けました。
今回、この海戦で操舵室での任務に当たり、犠牲になられた兵士の奥様(キム・ハンナさん)が参加されていました。映画でも描かれていましたが、ご主人は不自由な手で、戦死した操舵手に代わって大量出血しながらもハンドルを握り続け、最期まで仲間を守って国のために戦った英雄です。
映画上映後、キム・ハンナさんが登壇し、映画では表現し切れなかった海戦の事実についてや、犠牲者家族としての心情を語りました。
キムさんによれば、韓国は徴兵制の国であり、国民である兵士たちが国のための義務を守って犠牲になりましたが、それに対して当時の金大中政権が太陽政策で北朝鮮に対して融和的な政策をとっていたため、これだけの犠牲があったにも関わらず、厳格に対応しなかった事実があるということです。日本でもこの海戦があまり知られていないのはそのせいかも知れません。(当時は日韓共催ワールドカップ開催中でした)
北朝鮮が第一の問題であることは言うまでもありませんが、韓国内でも政権交代の度に方向性が180度変わり、社会が分断されているという問題が浮き彫りになりました。
映画を視聴し、キムさんの講話を聴いた参加者は、日本と韓国が共同して北朝鮮による問題を訴え、日本における拉致問題や在日北送事業被害解決のため、そして韓国における北朝鮮人権被害の解決のために共に行動し、北朝鮮の政府とは言えない政府を終わらせていかなければならないと語りました。
閉会の辞で二日間の行事を総括した川崎栄子代表は、新潟で活動を開始した当初のやや冷ややかな反応から比較して、少しずつ現地の方々の理解と協力が得られ、今回の行事が有意義なものとなったと語りました。また今年も12月13日・14日(金・土)には、新潟港中央埠頭での追慕式を中心に重要な行事を予定しており、今回参加した皆さんが、ぜひこの運動を多くの方々に宣伝していただきたいと伝えました。
新ボトナム会は今後も、韓国をはじめ国際社会と連携・協力しながら、北朝鮮による人権犯罪を終わらせ、すべての人に生まれながらに与えられた自由と人権が保障される社会の実現のために活動します。
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